悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
「胡桃、愛している」


ほんとうに⁈


「……私も、愛してる」


「あぁ、知ってる」


「うそつき…」


コツンとおでこで頭をこずく零…


そして、私の頬にキスをする。


「お前の身体は正直だからな」


「意味わかんない」


頬に触れていた唇が、耳に触れそうな距

離で甘く囁く。


「わからせてやるよ」


声とともに耳にかかる息にゾクッと欲情

した。


瞬間…耳に何度も啄むくちづけ。


「……んっ…うっ…やぁあっ…」


「ほら…これだけで正直に反応する…唇

にキスしたらどうなるんだ⁈」


「……零が私に翻弄されるのよね」


言ってやった…


あなたにメロメロだなんて言ってやらな

いんだから…フン。


「顔を真っ赤にしてそんなこと言っても

効果ないぞ」


とっさに頬を両手で隠す。


「くっククク…俺を負かしたいんならそ

の唇で俺に勝ってみろよ」


意地悪な笑みで微笑む。


うっ…それってキスしろってことよね。


零に寄りかかり肩に頭を乗せると人差し

指で零の唇をなぞる。


「ねぇ…キスしたら愛してるって言って

くれる⁈」


「お前しだいだな」


頭部を引き寄せられ、唇が触れそうで触

れない距離で止まった。


零の肩に手を置き唇に啄むキスをした。


キスの度に…

「すき……愛してる……零…好きなの」


離れる唇を零の唇が追いかけてくる。


「たりない…もっと……もっとだ」


「ずっとそばにいて…愛してるの」


「フッ…参った。…くるみ……」


おでこ同士をつけ零の手が頭を撫でる。


「愛してる……ずっとそばにいてくれ」


「おばあちゃんになってもキスして愛し

てるって言ってくれる⁇」


「あぁ、毎日‥何回だって言ってやる。

だから俺と結婚しろよ」


「はい…」


唇を重ね、深くなっていくキス。


膝裏に手が入り自然と零の首に掴まる。


キスをしながらフワッと体が持ち上がる

と抱きかかえられたまま1つのドアに向

かった。


キングサイズのベッドの上でまた零の膝

の上にいる。


サイドボードの引き出しから見覚えのあ

る小さなケースを出してきて、私の左手

の薬指に光る指輪が戻った。


「言葉だけじゃたりないだろう⁈愛し合

おうか…カラダ中に愛してるって刻みた

い」


妖艶な笑みと甘く囁くハスキーな声にあ

がらえる訳がなく私は零に翻弄されてい

く。
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