人間カード



額に浮かんだ汗が、垂れてくるのがわかった。


嫌な感覚だった。


その声の主は、俺よりも若々しい男の声だった。


恐る恐る振り返ると、少し離れた場所に人影が見える。


「だ、だ、誰だ!」


男がこっちに向かって歩いてくると、姿がはっきりと映し出された。


「お、お前は……!」


俺は、そいつの事をよく知っていた。


いや、知り合いじゃないがそいつの顔と姿は脳ミソに焼き付けられるように覚えていたんだ。


雑誌に出てきそうなほどお洒落な格好をしている男。


年齢は学生くらいだろう。


にやにやと何かを企んだその表情が、俺にとっては牙を剥き出しにした獣に見えた。


こいつは、女教師が俺を痴漢呼ばわりした時に、隣に立っていたイケメン男だ!

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