Love nest~盲愛~
見えない刺客

「えな、忘れ物は無いか?」

「はい、冷蔵庫の中の物も車に積んだので」


哲平さんが取り戻してくれた生家で3泊ほど過ごし、4日目の今日、彼の自宅であるあの家に帰る事になった。

人間って不思議なもので、肌を重ねたというだけでこんなにも安心感と信頼度が増すだなんて。

好きだから、大切にしたいとという枠を超えて、好きだからこそ、どんな事でもと思えるようになる。

何かの本で読んだ受けうりだけど、これこそ愛のマジックなんだと思う。


「じっとしてろ」


助手席に乗り込んだ私の目の前を彼の腕が横切り、彼の顔がすぐ真横に。

シートベルトをしてくれているだけなのに、ドキドキしてしまう。


「気持ち悪いか?」

「だ、大丈夫ですっ、……哲平さんの顔が近すぎてっ」


顔に熱が集中しているのが分かるほど、顔が火照ってしまい、それを隠そうと口元を手で覆った。


「フッ、目瞑ったら、キスしてやるぞ?」

「えっ?」


シートベルトを締め終え、運転席に体を戻した彼が再び助手席の私の目の前に顔を近づけてきた。

ほらほら、早く目を瞑れよ、と言わんばかりに。

鼻先が触れそうな距離にまで接近して来たため、思わずぎゅっと瞑ると。

チュッと触れるだけのキスを唇に落とした彼。

すぐさまエンジンをかけた。

完全に軽くあしらわれている。

唇に残る柔らかな余韻を感じながら、瞼を開けると、ハンドルに片手を乗せ、私の様子を楽しんでる彼が視界に映った。


「帰ったら、幾らでもしてやるから」


子供でもあやすように、頭をポンポンと軽く叩かれた。

私の反応なんて、彼には全てお見通しだ。

< 160 / 222 >

この作品をシェア

pagetop