Love nest~盲愛~

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数日後。

彼の出勤を見送り、今井さんと花を生けていると、他の使用人たちがこそこそと何か話しているのに気が付く。


「今井さん、今日は何かあるんですか?皆さん、何だかそわそわしてるので」

「特に何もなかったように思いますが……」

「そうですか」

「恐らく、西賀の一件ではないでしょうか?」

「西賀の一件?」

「えな様が軟禁された翌日に、坊ちゃまの養父も逮捕されまして」

「えっ?!」

「昨日今日と家宅捜索が入っているそうです」

「……そうなんですね」

「はい。詳しいことは坊ちゃまがご帰宅されましたら、ご確認下さい」

「分かりました」


あの日、私を屋敷に一人にするために今井さんも一枚かんでいて、わざと外出したらしい。

彼の指示があってとの事で、あくる日に今井さんから謝罪された。

それから、この屋敷に盗聴や隠しカメラが仕掛けられていると警察に通報した上で、あの日生家に泊っている間に、この屋敷の捜査が行われたと後から聞かされた。

今はもう安全だから、安心して住めるようになったからと。

私の知らない所で、彼を筆頭に皆が動いでくれたらしい。

私にも話してくれたら、少しでも協力したのに……。

蚊帳の外に一人取り残された気分で、ほんの少し寂しさを覚えた。



18時少し前に彼が帰宅した。


「お帰りなさい」

「ただいま」


少し疲れている様子で、足取りが重そうだ。

白川さんが辞めたこともあって、彼の運転は執事長の奥村さんが担う事になった。

彼の鞄を持って彼の後を追い、彼の部屋に入った、次の瞬間。


「んッ?!!……っん……ッ…」


部屋のドアを閉めた拍子にドアに体が押し付けら、少し乱暴に唇が重なった。

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