Love nest~盲愛~

安心してと言われても、別に嫉妬してるわけではない。

過去に同じように連れて来た女性がいるなら、同じ轍を踏まないようにしようかと思っただけ。

ますます謎が深まるばかり。

過去に彼とどこかで会った事があるのだろうか?

歳が離れているから、学校で会う事も無かったはず。

アルバイトの経験もないから、学生時代にどこかで見初められたという事もない。

だとすると、あの店に採用されたたった1週間で見初められたという事?

私より綺麗な女性なんて、沢山いたのに……。

**

あっという間に8日が経ち、今日彼が出張から帰って来るらしい。

久しぶりの帰宅とあり、使用人たちは朝から忙しそうにしている。

厨房からは美味しい香りが漂い始め、庭の草木に水くれをする庭師の姿も。

私は今井さんと共に、屋敷内に飾る花を生けていた。


19時少し前。

優しい音色のメロディーが室内に流れ、彼が間もなく帰宅する合図が送られると、一斉に使用人たちがサファードに集まった。


白いシフォンのワンピースを身に纏い、私のその場に待機していると。

白川さんの運転する高級セダン車がサファード前に横付けされ、後部座席のドアが開くと、長い脚がゆっくりと現れた。

一斉にお辞儀をする使用人たちに合わせるように、私も深々と頭を下げた、その時。

伏せた視線の先に、ストレートチップの黒革靴がピタリと止まった。


「えな」


使用人たちが見守る中、少し低めのバリトンボイスで名前が呼ばれる。

ゆっくりと顔を持ち上げ視線を彼へと向けると。

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