[短編]初恋を終わらせる日。
「……そんなこと、言えないし、言わないよ」
「何で?もう私のそばにいる必要なんてないんだよ。優也くんは、好きな人のところへ行けば良い」
君の瞳に映したい人を映して、触れてたい人に触れて、好きだと思う相手に好きだと言えば良い。
だって、今はそれが許されるじゃん。
「……彼氏と別れたじゃん」
それなのに私の隣にこだわる理由は何?
ただの同情?
それとも臆病だから、君を受け入れてくれるか分からないあの人より、自分を好きな私の方が安心で良い?
でも大丈夫だよ、きっと。
だって、別れた理由聞いたら、あの人言ってたもん。
ーー優也は優しいのに、ちっとも優しくない彼氏に疲れちゃった、って。
長い睫毛を伏せて、どこか困ったような顔をして、あの人はそう言って笑ってたもん。
「お姉ちゃんが彼氏と別れたことくらい知ってるでしょ。……同じクラスなんだし」
よく双子と間違えられるほど、私と同じような顔をして、あの人は確かにそう言ってたんだ。