1月0日
1月0日
《1月0日》



あーー、今日で今年も終わりなのか。2014年長いようで短かったなぁ

年越しパーティーを私の家で行うのだ。

「るいーーっ!」

「ぬおっ!?」

この声は多分ゆきこかな。

「ふわぁ。やっぱるいとハグするの落ち着くわ〜」

またこんなこと言ってる。ゆきこと会うといつもハグされるんだよねぇ。嫌じゃないってか嬉しいけど。

でもどこかで見たことある風景だなぁ。デジャヴってやつか。

「よっ!うっちー!お前も来てたのか!」

「おぉー!まさきじゃん!やっぱまさきも来るよね!やべぇ!久しぶり過ぎて泣けてくるわ」

向こうでは男二人が感動の再会を果たしてる。なんでこんなことで泣くんだろうなぁ。

ってか2人とも別々の部屋で寝てたから気づかなかったのか。

早く来たのはいいけど眠いとか言い出したのでうっちーを寝室に。その後来たまさきは物置に布団を敷いて寝させたのだ。



えーっと、あと一人は...




「ごめん!!遅れた!うっわ、みんな揃ってるし。まさきとか絶対最後に来そうなのに」

「残念だね。俺はこういうのにだけはちゃんと来るんだぜ」


きたきた!あやかちゃん!!

「あやかちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「ぬわっ!?」

「やっぱあやかちゃんとのハグ落ち着くわぁ」

いやいや、ゆきこそれさっきうちにも言ってたよね!?

なんなのやら...。まあ、そんなとこが好きなんだけどねぇ。


「よしっ!みんな揃ったね!?」

「おうっ!」「だな!」「だねだね!」「うんっ!」

この四人とは幼稚園からの幼なじみ。

昔から大晦日はみんなで年を越そうっていってたけどみんな実家に帰ったりでなかなかできなかった年越し。

ほんっっとに楽しみでお酒飲める年になったしたくさんビールとか買ってきたから年越しは楽しくなりそうだな。


「ギャハハハハハ!!!!」

男2人は年末にあるガキ使を見て爆笑してる。


私達女三人は今年の反省やらなんやらで盛り上がってる。


「やっぱさー、彼氏いるゆきこはいいよねぇ。楽しいでしょ?」

あやかってこういう話するといつもニヤニヤしながらきく。やっぱ彼氏いないから聞くので楽しんでるんだろうなぁ。



私もだけど。


「いや〜、それはそれで複雑だったりするんだよ?あ、あやかにはわからないっかなぁ〜」

ニヤニヤしながら「どーだ」って言わんばかりにあやかを見返してる。


それをみて楽しむ私。


やっぱ昔と全然変わってないなぁ。みんなと居れるこの時間があるだけですごく楽しいし今年あった嫌なことを全部忘れるような気がして嬉しかった。






「おい!そろそろ年越すぞ〜!!」

あ、こんな事考えてたから気づかなかったけどもう23時58分。

「よし!みんなでジャンプしよっ!」

あやからしいなぁ。もちろんみんな賛成。


「よーしっ!あと1分!!」


お互い着地したときにぶつからないような立ち位置でジャンプする準備に入ってる。


「あと30秒!!!」


今年も終わりかぁ。
来年もみんなで楽しく入れたらいいなぁ。


「10!9!8!7!」

来年も頑張るぞ。

「さーん!にーぃ!いーち!」








ターーンッ








思いっきり床を蹴ってジャンプをした。


その瞬間を誰かが撮影したのかな。わたし達はフラッシュみたいなのに包まれた。





ストン








周りを見たら私の家ではない。

辺り一面真っ白の世界。



「え、なにこれ...」


ゆきこがいう。多分ここにいるみんなそう思ってるだろう。

「なになに!?るいの家すごい造りだね!」

ごめんまさき。現実逃避にも程がある。

いや、もしかしたらこれは現実じゃないかもしれない。


パシンッ


頬を叩いたけど痛かった。うん。現実だ。


「なにしてんの!?」

あやかがびっくりした声で私に言ってきたけど無視しとこう。そりゃ、私だってなにをしたいのかわからない。

でもこうするしかなかったんだもん。




「これなんだろ〜?」

うっちーがなにか見つけたのかな。

そこに行くと白いテーブルに黒い手紙入れがあった。

「うっちー見つけたんだから開けてよ」

まさきやっぱチキンだなぁ。

「え、やだよ!こえぇじゃんか!!」

いや、うっちーまで。なにこの男の貧弱さ!

「もー、私が開けるから...」

手紙入れを開けてみると中には黒い紙に白い文字で文章が書かれてあった。

「なに...これ...」

【1月0日へようこそ。1月0日を思いっきり楽しんでください。】

こう書かれてあった。

「楽しめって。楽しむしかないかっ!!!」

「おうっ!だな!!」

いや、馬鹿なの!?男の思考回路がわからない。

「でもさぁ。楽しめってどう楽しんだらいいんだろねぇ」

いや、あやかまで楽しむ気満々じゃん。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


地響きみたいな音が私達を包み込んだ。


「な......こ......おと」


まさきが何か言ってるけど全然聞こえない。

私は耐えきれず耳をふさいでその場にうずくまった。




どのくらいたったのかな。気づいたら音は消えていた。


目を開けて周りを見ますとそこにはさっきとは変わり者にならないくらいの光景があった。


「え......」


白かった光景が辺りは真っ赤。

そして赤黒い肉の塊がそこにはあった。


「だれなの......うっ」



やばい。食べた物が込み上げてきた。


「るい......」

え?まさき?

振り返るとそこには服が真っ赤になったまさきがいた。

「きゃっ」

思わず叫んでしまったけど私の服も赤くなっている

「これ、どういうこと?」

「わからない。でも3人は...」

え。なに...。

「わからないよ。ちゃんと言ってもらわないと!私は認めないよ!?うっちーが。あやかが。ゆきこが......」

気づいたら私は大粒の涙を流していた。

「ごめん」

まさきはそう言ってどこかに向かって歩いていこうとした。
ひとりになるのが怖くなった私はおもわず走ってまさきの後を追いかけた。


「まって!」

ようやく追いついた私はまさきの肩を掴んだ。
それに気づいたまさきは私を振り返って驚いた顔をした。

「なん...で。」

いや、見ているのは私じゃない。そのうしろを見ている。

私が後ろを見ようとすると


「やめろっ!!」


いままでに聞いたことのないまさきの怒号にびっくりしてその場で固まってしまった。

「お前は...見るんじゃない。」

なに?なにがなの?私のうしろになにかがあるの?

「なんなの?教えてよ!」

「駄目だ。絶対に振り返るな。俺の後も付けてくるな!お前はきっと10秒後に赤い机のところにつく。そこで手紙を見ろ。絶対だぞ。うしろを振り返るな。」

え。どういうこと?さっぱりわからない。


「大丈夫。またすぐ会えるから。絶対にな。俺達はそういう運命なんだよ。何度も、何があっても絶対に会える。そこでまたみんなで楽しもうぜ!じゃあな。」

そういってまさきは来た道を戻って行った。

目からは涙が出ていた。


その10秒後、私は赤い机の前に立っていた。そこには手紙。


【今回の勝者は《笠野琉生》さんです。さぁ。今日も頑張りましょう。】

あ。思い出した。私達は昨日も一昨日もその前も一ヶ月も何ヶ月も何年も何十年も「1月0日」を繰り返してるんだ。あぁ。なんで気づかないんだろ。

その瞬間私はフラッシュのような光に包まれた。













*


あーー、今日で今年も終わりなのか。2014年長いようで短かったなぁ

年越しパーティーを私の家で行うのだ。

「るいーーっ!」

「ぬおっ!?」

この声は多分ゆきこかな。

「ふわぁ。やっぱるいとハグするの落ち着くわ〜」

またこんなこと言ってる。ゆきこと会うといつもハグされるんだよねぇ。嫌じゃないってか嬉しいけど。

でもどこかで見たことある風景だなぁ。






デジャヴってやつか。
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