好きなんです!


夏の夜はじっとりと暑い空気で歩いているだけなのに汗をかく。
それも夜にだ。

騒ぎ疲れたのか愛梨はウトウトしながら歩いていて、危ないからと涼くんに支えられている。

私もだんだん眠くなってきて話すのがめんどくさい。
このままベッドにダイブしてエアコンをつけて眠りたい。

「大丈夫か?」

ぼーっと歩いていた私の腕を優馬が引いた。
後ろに引っ張られバランスを崩し優馬の胸に収まる。

「え?何?大丈夫だよ?」

全く事態が飲み込めずオロオロして優馬を見上げる。
優馬は心配そうな顔をしていた。


「さっきからぼーっとしてそのまま前行ったらぶつかるぞ。」

そう言われて前を見ると少し先には電信柱が立っていた。
確かにあのまま歩いていたらぶつかっていただろう。

「ありがとう…。」

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