yellow ribbon


限界が来て、走っていた足をゆっくり歩みに変えた。
こんなに走ったのはいつぶりだろう。
……あの、雨の日以来だ。

あの時は追ってきてくれたっけ……。

ぼんやり思い出す。


すると後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。


……まさか。
いや、そんな、まさか。


ごちゃごちゃの頭で、だけど体は動きだした。
もう息をするのも辛いはずなのに。
それでも足は止めなかった。


「おいこら!まて!ブス!!」


怒声が聞こえるけれど、無視。


…どうして追いかけて来たの?


怒ってるから?
文句言うため?
嘲笑いに来たの?

それとも……ちゃんと断るために?



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