腹黒スマイル王子

俺が先輩に気がついたのは去年の夏。

ただでさえ暑いのに体育館は皆の熱気で蒸し風呂状態。

皆暑くてダラダラやってると、1人大きな声を出してる人がいた。

声のする方を見ると女子マネージャー。最初は、マネージャーなんて大して動かないんだから声くらい当たり前だ、なんて思ってたけど、何だか気になって見てると。

選手達と同じようにコートの外側で走りながら声をかけていた。

休憩の時は、皆に飲み物配ったり、うちわで扇いであげたりしてる。

それから先輩のことを気にしてみると彼女はいつも一生懸命声を出してそして笑ってた。

普段は綺麗な顔なのに笑うと、少しだけ出た八重歯が見えて とたんに可愛くなる。

あれは、マジ反則もの。

その笑顔がキラキラしてて、いつのまにか俺の心に入ってきていた。

引退の時は後輩がどの先輩選手よりマネージャーの陽向先輩にすがって泣いていた。

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