腹黒スマイル王子
「ご卒業おめでとうございます。」

俺は言い終わらないうちに歩きだした。

そうしないと他の奴に先輩を取られてしまう。

彼女はきっとそんなこと思ってもみないだろうけど、今日この時を狙ってる奴は結構いる。

「やっぱどうせ付けるなら如月先輩だよな。」


「お前バスケ部でもないくせに、何の接点もないじゃん。」

「そんなもん。付けたもん勝ちだろう。」


アイツは、確かサッカー部。
やっぱりこの場所にして正解だな。




「おめでとうございます。」

俺は照れながらコサージュを胸に付ける。

「山神くんだよね?」

思ってもみなかった言葉がかえってきた。

俺は嬉しくていつもの何倍もの笑顔を見せた。
勿論これがどういう効果があるかわかってる。


「先輩は何処の高校行くんですか?」

「聖ヶ丘高校だよ。」

聖ヶ丘か……、狙えるな。

独り言を言ったのが聞こえたらしく聞きかえされたが、

「高校行っても頑張ってください。」

とおまけの笑顔を付けて誤魔化した。
「山神くんもキャプテン頑張ってね。」

って最後にあの笑顔を見せてくれた。

マジ反則。
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