あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
「なに、しばらくしたら、この戦争も終わりますよ」






安心させるような口調。




でも、その内容が、頭に入ってこない。





………センソウ?



戦争、って言ったの? 今。




え? いま日本って、戦争してるの?




いや、そんなはずは………



でも、あたし、新聞も読まないし、テレビニュースもほとんど見ないし、母親とも最近はまともに話さないし、学校で世間話する友達もいないし。




もしも戦争とかが始まっていても、もしかしたら知る機会がないかも………。





そんなことを思いながら、呆然と話を聞いていると。






「俺たちが必ずや敵国に痛手を負わせて、戦争を終わらせてみせます。


俺は、出撃したら、絶対に敵軍の中枢に突撃します。


そのために特攻隊に入隊したんですから」






敵軍………突撃………特攻隊?





なんだろう、その言葉の連続。




教科書の中の世界みたい………。





決意に満ちた表情で語る佐久間さんから、ツルさんへと視線をうつす。






「佐久間さんなら、必ずやり遂げるだろうねぇ」






ツルさんは、どこか悲しそうに目を伏せた。






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