あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
「俺の妹も、たまに寄越してくる手紙で、『学校に行って勉強したい』と書いているよ。

あの子たちもきっと同じだろうな………」






彰は遠い目をして言った。






「百合も、学校に戻って勉強したいと思うか?」






そう訊ねられて、少し考え込む。



あたしは、学校なんて、授業なんて、大嫌いだった。





朝早く起きて登校するのも、


眠気と格闘しながら授業を受けるのも、


体育の授業で集団行動をさせられるのも、


夕方まで学校に縛られてじっと椅子に座ってなきゃいけないことも。




でも………今となっては、懐かしい。



だって今は、この世界では、あのころよりもずっと早起きしないといけないし。



授業中に眠くなるのって幸せなことだったんだな、って思う。


つまり、仕事がないから眠くなれるんだ。


一日中椅子に座ってるだけで良かったのも、本当に気楽だった。



あたしも、あの女子学生たちも、朝から晩まで食堂や軍事工場で働きづめで、休憩の時間くらいしか椅子に座ったりできないんだもん。




電気製品がないから、炊事も洗濯も超肉体労働で疲れるしね。





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