上司に秘密を握られちゃいました。

「毎年買ってるんですか?」

「いや、初めてだ。去年までは、営業本部じゃなかったからね」


なるほど、そうか。
営業本部付になって、戦略を練る立場になったからだ。


「だから、西里さんがいてくれて心強い。実はひとりで来る勇気がなかったんだよ」


屈託のない笑顔を私に向けてくれる彼は、仕事の時よりずっと優しい顔。

それから十五分ほど待って、やっとレジにたどり着いた。


「一万八百円になります」


福袋にも、やっぱり消費税。

この八百円が、レジ待ちの列を長くしている気もする。
おつりを必要とする客が増えるからだ。

おつりを出すというわずかな時間も、塵も積もれば山となる。


「もうちょっといい?」


彼は、今度は別館へと足を進めた。
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