上司に秘密を握られちゃいました。
「そっかー。怪獣が好きなんだね。お兄さんも子供の頃、大好きだったんだよ」


子供が好きなのだろう。
優しい笑顔は、決して作り物ではなかった。

慌ててラッピングに戻ると、美晴が「いい人だったわ」と囁く。


「さっきの人?」

「うん」


美晴はいやに上機嫌。


「なんていう人だろう?」

「真山(まやま)さんだって。名札に書いてあったよ」


私の持ち場のラッピングは、ほとんど終わっていた。


「さっき売場で男の子が泣きだしちゃって、飛び出していったの」


怪獣の話をしていた男の子だろうか。


「これ……すごくきれいに包んである」


作業台に置かれているいくつかのラッピング済みの商品は、少しずつ包み方が違っている。
そのうちのひとつ、大きなぬいぐるみは、透明のセロハンで包んだ後、リボンで装飾してあった。
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