上司に秘密を握られちゃいました。
「うんうん。しかも藍華並みのかわいさよ、これ」

「ダブルリボンだ」


別の大きな箱は、“ダブルリボン”というリボンの結び方がしてある。二色のリボンで蝶々結びしたものだ。


この仕事に就いてから、ラッピングの勉強を独学で始めた。

どうやら、なにかするときは徹底的に極めないと気が済まない性格で、いつも没頭してしまう癖がある。

だからダブルリボンが、コストをかけず、ちょっとしたひと工夫でできることを知っていて、多用していた。


「どこの部署の人かな……」

「そこまではわかんない」


おもちゃ売場では見たことがないから、別の部署だろう。

一旦戻ってきた彼は、私が帰ってきていることを確認すると、「それじゃあ、あとはよろしく」と言い残して去っていった。
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