上司に秘密を握られちゃいました。
「どうしたの? まさか辞めるなんて言わないわよね」
「言わないわよ」
たしかに過酷な労働環境かもしれないけど、楽しくてたまらないのだから。
「それじゃあ、なに?」
「うん、私……真山さんと……」
「真山さんがどうかした?」
そこまで言っても、美晴は気がつく気配もない。
"まさか"だろうから。
「付き合うことになった」
「はぁっ!?」
「ちょっと。声が大きい」
慌てて美晴の口を押えると、彼女は目を見開いている。
「ホントなの?」
真山さんと一緒に残業をしていたことは、美晴も知っている。
食事に連れて行ってもらったことも。
「うん。昨日、他のデパートの初売りに誘われて、それで……」
美晴も私が制服フェチだとは知らない。
制服を着せてもらえたことは省いて、事の成り行きを大まかに話した。