上司に秘密を握られちゃいました。
しばらくボーッと外を眺めていると、真山さんの姿が大きな窓越しに見えた。
走ってくれている……。
「藍華、遅くなってごめん」
「いえ、大丈夫です」
本当は少し寂しかった。
だけど、彼の顔を見た瞬間、そんなことはどうでもよくなってしまう。
「ごめん。別のところに食事にでもと思っていたんだけど……」
私の飲みかけのカフェラテを見て申し訳なさそうな顔をする。
「いえ、ここにもありますし。真山さん、お腹空いてませんか?」
「実は空いてる」
恥ずかしそうにクスッと笑った彼は、「今度穴埋めする」とウエイトレスからメニューを受け取った。
「藍華はなににする?」
メニューは少ないけれど、おいしそう。
「私は……チキンカレーにします」
「じゃあ俺も」