上司に秘密を握られちゃいました。

「真山君がどうしてもって言うからね。
売り場から来てほしいという声も多かったんだよ」

「ありがとうございます」


『来てほしい』と言ってもらえるのは光栄だった。
頑張ってきたご褒美をいただいた気分。


更衣室で真新しい制服に着替えると、気持ちがシャキッとする。

やっと着られた。
憧れの東郷百貨店の一員に、なれた。


だけど……気分がなかなか上がらないのは、あんな別れ方をした真山さんに、どんな顔で会えばいいのかわからないから。


「藍華、似合う!」


丁度出勤してきた美晴は、私を見つけてニコニコ顔。


「ありがとう」

「私も頑張ろ。三月まで全力を尽くすわ」

「うん、待ってる。私も美晴と仕事したいよ」


きっと彼女ならやるだろう。
真面目な彼女は、評判もいい。
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