上司に秘密を握られちゃいました。
「これ、おいしいわよ」
メニューを決めかねていると、早乙女様が自分のドリアを指差した。
「それじゃあ……」
「マスター、シーフードドリアね」
私の代わりに注文を叫んでくれた早乙女様は「なんか顔が沈んでるじゃない」と身を乗り出してくる。
「そんなこと、ないです」
「ちゃんとした? リボンをつけてア、ゲ、ル」
「いえ……」
『ア、ゲ、ル』はしていないけど、結局あの日は、初めて公孝さんに……。
ハレンタインの夜を思い出し、恥ずかしくなってうつむくと、「あらー、したみたいね。やるわね」と勘違いされてしまった。
「それで? 公孝君、仕事ばっかりで寂しいってわけね」
この人、千里眼でも持ってるの?
まさにその通りのことを言われて顔を上げると「それとも、昔の女になんかされてる?」と続いて、さらに驚く。
なにか知ってるの?