上司に秘密を握られちゃいました。
「い、いいよ」
すぐに入ってきた敬子は、目を見開いている。
「どう、かな……」
「すごすぎる。杏林のお嬢様よ、これ」
部屋にある大きな鏡に自分の姿を映し出すと、そこにいるのが自分ではないようで驚く。
「すごく満足」
「作っただけで?」
「うん!」
杏林女子はお嬢様学校ということもあってか、立ち居振る舞いが上品で、上級生に挨拶をするときは背筋を伸ばしてきちんと頭を下げているのを見て、どこか違う世界の人たちだと思っていた。
制服もどきを作っただけで、その世界に一歩近づけた気がしていた。
気持ちまで変えてしまう制服って、本当に偉大。
こうして、私の制服フェチに拍車がかかり、東郷の制服作りにのめりこんでいった。