上司に秘密を握られちゃいました。

それから迷子は増える一方だった。
ピークの時は十人にもなった。


「絵本読みたい人!」


なかなかお母さんが来てくれない子は、遊びにも飽きてきた。
希望する数人を集め、絵本の読み聞かせをした。


なんとか他の人の手を借りることなく最後の迷子を送り出すと、ホッと気が抜けてしまった。

子供たちと一緒のときは、楽しく盛り上げなくてはと気持ちを鼓舞させていた。
だからか、想像以上に疲れてしまったようだ。

散乱するおもちゃを片付けていると、真山さんがやってきた。


「西里さん、ごめん。
手伝いに来るつもりだったけど、いろいろアクシデントが続いてしまって……」

「いえ。なんとかなりましたので、大丈夫です」


真山さんもきっと忙しかったに違いない。
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