従順なペットは愛を囁く



康之さんは努力を踏みにじることに喜びを感じる部類の人だったのだ。

欠点や失敗を必要以上に責め、がっかりさせる天才。

愛情なのかもしれない、愛ゆえに正直に言ってくれているのかもしれない。

私は何度がっかりさせられても、自分が悪かったのだと反省し、康之さんに反論しなかった。

日に日に、自分はダメ人間だという気持ちでいっぱいになっていく。

そう思っていた矢先のこと、2人で映画を観た帰り道。

 どん

「すみません」

康之さんはいつも歩くのが早い。
私は後ろからちょこちょこと追いかけていくのが通常の2人のスタイルだ。

人ごみの中はぐれないようにするのが精いっぱいで、前から歩いてくる人を避けることができない場合が多い。






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