従順なペットは愛を囁く






目を開くと、見知らぬ天井があった。

ん?

たまにゆめうつつでこんなことがある。

子供の頃、おばあちゃんの家に泊まると、必ず客間に布団を敷いて寝ていた。

そこには恐ろしい顔をしたダルマの刺繍が、額縁に入れられ壁に飾ってあった。眠る時は違う部屋と思い込むことで恐怖心を和らげていた。

天井が想像の部屋の天井にすり替わる。

例えば自分の部屋だったり、学校の教室だったり、想像しうるかぎり。まあ、なんでもよかった。

あのリアルなダルマの刺繍を見ないよう、忘れた状態にして目覚めたかったのだ。

そのせいか、自分の部屋でもどこかわからなくなって目覚めることがある。

最近はめっきりそれも少なくなってきたのだけれど……




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