夏服を収める頃には
電 話
風呂から上がると部屋で昨日買った
CDをかけて健が踊っていると
居間の固定電話が鳴った。

脱衣所にいる父親が電話に出る雰囲気
が全くないので、健が一階に降りて
受話器を取った。

「はい、広瀬です」

「あ、あのう広瀬さんの
お宅でしょうか」

「はい、そうです」

受話器の向こうの声は
若い女性でどこかで聞いたことが
あったが誰かは分からなかった。

「夜分遅くすいません。

あ、あのう私、
青葉高校で同じクラスの小田島と
申しますが、
健君いらっしゃるでしょうか」

健の胸の奥で何かが
弾けた気がした。

「ああ!小田島さん?

俺、健だよ、健。

分かんなかった?

わあ、びっくりしたー」
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