君をひたすら傷つけて
「どうする?子どもの性別は聞きたい?」

「そうだな。生まれるまでの楽しみに取っておきたい気もするけど、初めての子どもだから、準備もあるし。雅はどうしたい?知りたい?」

「知りたくないと言えば嘘になるけど、生まれるまで楽しみにしておくのもいいかもしれない。でも、性別を知った方が子ども服とか買うのに困らないけど」

「じゃあ、性別は聞かないでおく。初めてのことばかりだから、分からないことばかりだけど父親として出来るだけのことをしたいと思っているよ」

「そうね。じゃあ、今日は性別に関係ない赤ちゃん用品だけ見に行きましょ。ベッドやベビーカーにチャイルドシートと買わないといけないものがたくさんあるから」

「後、本屋も行きたい。子どもの名前を男女二つ考えないといけないから。いくつか候補を二人で挙げて、その中で決めよう」

 仕事が忙しいから、私に任せるのではなくて、出来るだけ時間を見つけて関わろうとしてくれているのが嬉しかった。まりえのマンションにいる時は自分一人で育てるつもりだったので、正直、不安な部分がなかったとはいえない。でも、今は綺麗さっぱり消えていた。

 篠崎さんのマネージャーの仕事をしている慎哉さんの仕事は日々忙しい。実際に考えてみても時間が不規則なので厳しいことが多いと思う。世間一般の父親に比べると育児に関われないかもしれない。でも、私は不安がないのは、きっと慎哉さんは私のことを見守り、子どものことを見守ってくれると思うからだと思う。
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