君をひたすら傷つけて
「ありがとうございます。でも、あっちの女の子たちが呼んでますよ」

 
 一応、サークルの副代表という立場だから、新入生と一緒に入って来た二年の私に気を使ってくれているのだろう。でも、そんなに気を使って貰うのも申し訳ない。さっきから、女の子の視線が鋭く私の方にも刺さるくらいにきている。時間が過ぎるのを待っている私と話しても面白くないだろうし、女の子の群れの中に戻ればいいのにと思う。

 実際に女の子から『レンジせんぱーい。』という甘ったるい声も聞こえてくる。


「いいよ。そんなの全然。今は雅ちゃんとのおしゃべりタイムだからね。雅ちゃんって大人しいし可愛いよね。彼氏はいるの?」


「え?」

 レンジ先輩が横に来て、ものの何分かの出来事だった。『可愛い』とか『彼氏』とか、あまりにもいきなり過ぎる。


「彼氏が居ないなら俺と付き合ってみない?この前、彼女と別れたばかりで彼女募集中なんだ。雅ちゃんは可愛いし、俺の好みだし。大事にするから」

「なんで?」

「え?可愛いし、一緒に居たいと思うから」


 私は驚いてしまって、その人の顔を見る。端正な顔で自分に自信があるんだろうなって思う。彼女と別れて、彼女募集中なのかもしれない。それでも初めて会った人と付き合うというのはあまりにも早急過ぎないのだろうか?
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