君をひたすら傷つけて
「楽しいから飲み過ぎたのね。たまにはいいと思うわ。雅は自分に厳し過ぎるの。少し自分を甘やかせてもいいのではないかしら?」

 私は自分に厳し過ぎるのだろうか?思い返してみると、亡くなった義哉の分も頑張ろうと思って生きてきた。人の命はいつ消えるとも限らない。だからこそ、自分なりに一生懸命生きたいと思っている。

 それでも、リズとまりえには甘えていると思う。一緒に過ごした時間は薄らと雪が覆うように私の心を白く染めていく。肩に入り過ぎた私はかなりゆっくりとした時間を過ごしている。そして、昨日はアルベールにも甘えた。

「そんなことないわ。私は甘えているもの」

「そう?それならいいけど。少しお腹に何か入れた方がいいけど、食べられそう?」

「うーん。ちょっと無理そう」

「そう?もうすぐリズは帰ってくると思うわ」

「分かった」

 お腹は空いているけど食べられるような気はしない。口に入れたものは全部吐いてしまうのではないかと思うくらいに、気持ち悪い。

「ありがとう。でも、今はいい。」

「そう。じゃあ、欲しくなったら言ってね。胃に優しい食事を作るから。それと何かあったら呼んでね。リビングにいるから」

「うん。ありがとう」

 予定ではまりえと一緒に楽しく過ごすつもりだったのに、思ったとおりにはいかないものだった。しばらくベッドに横になり、昨日のことを考えていた。アルベールと一緒に過ごした時間は楽しいもので、この時間がずっと続いたら楽しいだろうなとも思った。
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