君をひたすら傷つけて
「私は雅に幸せになって欲しいと思っている。それは心からね」

「うん」

「無理は必要ないの」

「うん」

 そんなリズの言葉に唇を噛む。そうでもしないと私は涙が零れそうだった。リズの優しさは私を包み込む。同じ大学の子の代わりに来た語学留学だったけど、ファッションの世界に飛び込み、今はこんなにも人生が急スピードで変わっていく。一年のつもりが時間は流れ、私を包む温もりはリズであり、アルベールだった。

「アルベールのこと。好きなのよ。でも、義哉のように好きになれないの。それが申し訳ないの。『好き』と言われた時、嬉しかったけど不安にもなったの。だって、もう恋は出来ないとしか思えない。そんな私が傍にいてもいいのかしら。アルベールは素敵だから他にいくらでも女の子が居るのに」

「いいに決まっている。それでいいのよ。傍に居て欲しいと思われるなら居れば」

 リズの断言にも似た言葉がとても優しく私の心を染めていくのを感じた。焦らずゆっくりと…。それでいいと。

 私は新たな恋を始める。時間が掛かるかもしれないけど、それでもアルベールは私を待っていてくれるだろう。

 そして、いつか…私はもう一度恋を出来るだろう。
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