君をひたすら傷つけて
 頭を下げると、お兄さんは少し頷き、高取くんは手を振っている。そんな二人に手を振ってから私は駅の方に少し歩いて振り向くと、車はまだそこに居て窓の中からは高取くんが嬉しそうに手を振っている。私は高取くんには手を振り、お兄さんには少し頭を下げてから、駅の方に入っていった。


 優しいのと少し過保護だと思いながらも悪い気はせず、嬉しいと思った。大事にされていると思った。


 時間は一時になっていた。

 
 昼ごはんも食べてないからお腹は空いているけど、なぜか食べる気にならない。さっき、さやかと一緒にケーキを食べに行こうとしていたとは思えない。そのくらい胸がいっぱいだった。早く帰らないといけないのに私はそんな気にならず本屋に行くことにした。


 私が乗る電車には時間もあったし、駅のホームは寒いから時間を潰すつもりで本屋に行った。でも、欲しいと思っていた小説も漫画も手にとっては棚に戻す。


 ふと高取くんの笑顔を思い出してしまう私は重症かもしれない。


「受験間近なのに何をしているんだろう」


 でも、女の子として大事にしてくれる扱いは初めてだったので私の胸は妙にドキドキしてしまっていた。本屋を歩き回り、時間が来て駅で電車に乗ってもドキドキは持続していた。


 そして、自分のベッドに入るまでこのドキドキは終わることがなかった。

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