君をひたすら傷つけて
 高取くんが私を待っていた理由は『約束の前借り』だった。

「どうして?」

 センター試験が終わる頃には高校は自由登校になっているので、そのまま約束はフェードアウト出来ると思っていた。そして、私の思いもフェードアウト出来ると思っていた。それに今日は公園でのあの光景を見たばかりで心はグラグラと揺れている。これ以上私を揺らさないで欲しい。

 私は高取くんを拒絶なんか出来ない。

 私は高取くんが好き。友達としての思いならよかったけど、一緒にいる時間が増える度に私は好きになっている。でも、今朝、高取くんの気持ちを間接的にとはいえ聞いてしまった。

 今なら踏み止まれる。でも…。もっと高取くんのことを知りたい。矛盾だらけだった。


「実は今日、母さんの誕生日なんだ。少し前からプレゼントを探しているけど中々決まらなくて困っているんだ。女の人って何を買ったら喜ぶかわからないから付いてきて欲しいんだ。放課後に少しの時間だけでもいいから」


 塾を理由に断ろうと思った。でも、断れなかった。

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