君をひたすら傷つけて
「それはどうでもいい。俺は全く興味がない。雅との恋愛の先に結婚があればいいと思いながら、雅と一緒に付き合っている。この件については両親にも叔母にも話をしていて、両親も叔母も雅との結婚を許してくれている。だから、俺だけを見ていて欲しい。これからも何も変わらない」

「わかった。アルベールを信用するわ。この話は私がニューヨークの撮影から戻ってからにしましょう」

「ああ。俺もそれまでに全てを終わらせておくよ」

 日本ではまりえがリズのニューヨーク行きの手配と同時に私のフランスからニューヨークへの飛行機の手続きまで終わらせていた。出発の前日も私はアルベールと一緒に時間を過ごしていた。抱き合いながら、温もりを感じながらの時間はアドリエンヌさんが来た不安も拭い去ってくれた。

『雅。帰ってきたら幸せになろう』
『俺もモデルの仕事を頑張る』

『誰よりも雅を愛している』

 アルベールの腕の中は温かく、優しく、そして、官能的だった。

 私は予定通りにニューヨークへ行くことになった。そして、日本に言った時と同じように私は飛行機の乗ってしばらくしてから、すぐに眠りに着いた。

 透き通った快晴の空に一筋の雲の線を引きながらのフライトだったと空を眺め見送ってくれたアルベールのメールにあった。その最後には『帰ってくるのを待っている』との言葉で締められてあった。

 そして、私はリズの待つニューヨークへ向かった。

< 597 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop