君をひたすら傷つけて
「うん。感動したの。幸せになって欲しいと思った」

「本当にいい結婚式だった。これも雅のお陰だな。ありがとう」

「私は何も……」

 そう言う私の横にお兄ちゃんは座ると、頭をポンポンと撫でた。そして、少しの間、私の涙が少し収まるまでの間、傍にいてくれた。涙が止まるまでの時間はもっと掛かるかもしれないと思ったけど、お兄ちゃんが横にいてくれたからか、次第に気持ちは落ち着いていく。でも、涙腺が崩壊したのかもしれないと思うくらいに涙が出た。

「そろそろ行けそうか?」

「うん。大丈夫。でも、泣きすぎて、化粧が剥げちゃった」

「あとでリズさんに綺麗にして貰ったらいいよ。海と里桜さんに挨拶してから先にパーティ会場に行こう」

「そうね。早く教会を出ないと」

 立ち上がってお兄ちゃんの横を歩いていると、泣きすぎたせいか、身体がふらっと揺れた。そんな私をお兄ちゃんは支えてくれた。

「大丈夫か?」

「ええ。泣きすぎて足元が揺れただけだから」

 お兄ちゃんはそっと手を私の肩に添えると穏やかに微笑んだ。肩を支えてくれるお兄ちゃんの手は大きくて温かかった。

 教会の入り口では篠崎さんと里桜ちゃんが並んでいて、お客様の見送りをしていた。本来なら、新郎新婦は結婚パーティ会場まで送り出してからゲストは動くものだけど、今回は映画祭からの教会入りだから、今から写真を撮影することになっていた。

 神崎くんはいい写真を撮るだろう。

 
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