君をひたすら傷つけて
「そうなんですね。私が初めて会った時から高取さんは優しいです」
「私もそう思う。本当に優しい」
優しいから私を突き放すことも出来ずに抱き、責任を取ろうとしている。私はお兄ちゃんに好かれているとは思う。でも、それは妹である私だと思う。壁を乗り越えてしまった私はもう傍には居られない。
「マンションからちょっと離れるけど、この頃、よく行く店でいいかしら?」
日本に帰国して、私は大学のサークルの集まりに顔を出した。そこで先輩たちと再会もしたけど、同期にも何人もあった。里桜ちゃんのドレスを作った雅人もだし、これから行く店のオーナーも同期だった。サークルの集まりは彼の店にオープニング祝も兼ねたもので、それからエマやまりえともよく行く。リーズナブルな上に美味しい。車を止めて、店に入ると、時間的に良かったのか、店内の客は疎らだった。夜になると次第に人が集まってくる。
狭い店の中には丸い木のテーブルが五つだけあって、後はカウンターだけ。店に入ると見知った笑顔が向けられた。
「雅。久しぶりだな」
カウンターの中でグラスを磨きながら、笑いかけたのは仙崎雪都(せんざきゆきと)だった。大学の時は緩やかに伸ばしていた髪も、今は短く刈り込まれていて、髭も綺麗に剃られてある。大学の時のワイルドさはどこに行ったかと思うくらいに、繊細な雰囲気を醸し出す男になっていた。大学でバイト先の料理に嵌り、就職後、一流商社に勤めていたのに、その海外赴任先で料理に目覚め、脱サラして、そのままレストランに修行に行ったと聞いている。
同期の中でも私と似たような変わり種だった。
「そうね。この頃忙しかったの」
「篠崎海絡み?」
「私もそう思う。本当に優しい」
優しいから私を突き放すことも出来ずに抱き、責任を取ろうとしている。私はお兄ちゃんに好かれているとは思う。でも、それは妹である私だと思う。壁を乗り越えてしまった私はもう傍には居られない。
「マンションからちょっと離れるけど、この頃、よく行く店でいいかしら?」
日本に帰国して、私は大学のサークルの集まりに顔を出した。そこで先輩たちと再会もしたけど、同期にも何人もあった。里桜ちゃんのドレスを作った雅人もだし、これから行く店のオーナーも同期だった。サークルの集まりは彼の店にオープニング祝も兼ねたもので、それからエマやまりえともよく行く。リーズナブルな上に美味しい。車を止めて、店に入ると、時間的に良かったのか、店内の客は疎らだった。夜になると次第に人が集まってくる。
狭い店の中には丸い木のテーブルが五つだけあって、後はカウンターだけ。店に入ると見知った笑顔が向けられた。
「雅。久しぶりだな」
カウンターの中でグラスを磨きながら、笑いかけたのは仙崎雪都(せんざきゆきと)だった。大学の時は緩やかに伸ばしていた髪も、今は短く刈り込まれていて、髭も綺麗に剃られてある。大学の時のワイルドさはどこに行ったかと思うくらいに、繊細な雰囲気を醸し出す男になっていた。大学でバイト先の料理に嵌り、就職後、一流商社に勤めていたのに、その海外赴任先で料理に目覚め、脱サラして、そのままレストランに修行に行ったと聞いている。
同期の中でも私と似たような変わり種だった。
「そうね。この頃忙しかったの」
「篠崎海絡み?」