イケメンすぎてドン引き!
すっと先輩の頭をなでると、彼は少し頬を染め、不機嫌そうな顔になる。
「うるせーよ汚物のくせに上から目線すんな。あ、汚物……じゃなくてオブチさん」
「あはは、もう面倒なので、何とでも呼んでいいですよ?」
腫れぼったい目であたしをにらみつける先輩に、思わず笑ってしまった。
まあ、あたしのまぶたもも二重が1.5重になってますけど。
――キーンコーンカーンコーン。
再び学校方面からチャイムの音が響いてくる。
やばい。朝自習終わっちゃった。
1時間目に間に合うかなぁと心配になりつつも、体は動かなかった。
「モモカっち。いや……モモキャ?」
先輩は再び下を向き、頭を右左に揺らしながら、ブツブツとつぶやきだす。
「はい?」
「モモキャリーナ……モモーラモ? 何かしっくりこねーな」
「なんすか、それ」
「モモカ」
――どきっ!
「は、はい?」
「や、スミスがなぜかお前のこと名前で呼んでて、なんかムカついたから」
「…………」
「ほら、モモカ、学校行くぞ」
「……はいっ!」
すたすたと学校への道を戻る先輩の背中を追う。
モモカ……モモカ……モモカ……。
あたしの頭の中では、モモカがカモモカやモモモモになるほど、
先輩の声がエンドレスリピートされていた。