イケメンすぎてドン引き!
このままじゃ心臓に悪いと思い、あたしは目をそらす。
祭の匂いを運ぶ、生ぬるい風があたしたちをふわりと包んだ。
「今日はすみません、足手まといみたいになっちゃって」
「別にいーって」
「しかも、先輩は早く帰りたいですよね。わがまま言って本当にすみません」
「だからいいって言ってんだ……」
「ありがとうございます」
「…………」
「さっき本音吐けよって言われて、すごい嬉しくて……」
やばい。また泣いちゃいそう。
でも胸がいっぱいになってしまったようで、止まらない。
「本当にいいんですか? そんなん先輩に言われたら止まらなくなりそうなんですけど!」
「…………」
先輩は無言になってしまった。
やばい、突然変なこと言ったしドン引きされたかも。
あたしは恐る恐る彼を見た……が、びくっと体が震えた。
「お前はさー。何でそんなにガードすんの?」
「あ……」
先輩の手はゆっくりとあたしの背中にまわされる。
「こうしなきゃ分かんない?」
座ったまま、上半身がその手に引き寄せられる。
「ちょっ」
慌てる間もなく、
あたしは先輩の温もりにぎゅっと包まれていた。
ちょっと、何これ!!
どくんどっどっどどどどどどど!
やばい心臓が超高速モードに突入してしまう、いや、超してる!
でも――
嫌じゃない。むしろ、すごく嬉しい。
前にスミスさんに迫られた時とは違う。
やっぱり、先輩だからだ。