イケメンすぎてドン引き!


とぼとぼと高校への近道である、住宅街横の石畳の道を進む。


そして、その先にある20段ほどの石の階段をよっこらせと上り始めた。



キーンコーンカーンコーン。



つぼみを膨らませた桜の木を揺らす風が、

予鈴のチャイム音を校舎方向から運んできた。



ギャース、やばいっ!

あと5分で遅刻扱いになっちゃう!



あたしはスタタタタと階段を急いで上ったが。



スポッ!



「――っ!?」



あたしのローファーは、新品のためかまだ足になじんでいなかったらしい。



駆け上がる勢いで片方だけが脱げてしまった!

しかも、ウ○コと下水にまみれた方!



「やばっ!」



それは、悪臭をまき散らしながらあたしの後方へと舞った。



頭の中にシンデレラのあの場面が描き出される。


――ああ、もう夜中の12時!?


脱げちゃったのは、ガラスの靴ではなくて、超臭い靴だけど。



きっと王子様が拾ってくれるはず……


じゃなくて!!!!!



急がないとやばい遅刻だー!



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