桜ノ華
「食べ物以外は」
「ん~…きらきらした物、ですかね。
夜景とか花火とか、好きなんです」
最近はあまり無くなったけれど、
父がよく夜景の綺麗なレストランに連れて行ってくれた。
「…そうか」
答えを聞いた啓志は、何故か満足そうだった。
「生徒会の仕事がある。戻る」
「あっ、はい」
微笑んで手を振った。
啓志も笑みを返してくれる。
その背中が見えなくなってから、
膝の上にあるチョコレートの箱を見た。
「…大事に食べよう」
経緯はどうであれ、啓志からの贈り物なのだから。