桜ノ華
「…ありがとう」
「はい」
啓志の手のひらにそれを乗せ、
きらきらと輝いてすら見える美しいチョコレートを眺めた。
「…甘い…」
「一応、ビターチョコレートらしいんですけど」
「残り、やる」
「…ありがたく頂きます」
もう食べないだろうし、
放っておくと捨ててしまうだろう。
くれると言っているんだから貰っておいた方が、
啓志の機嫌も損ねない。
「チョコレート、好きか」
「そうですね、嫌いじゃないですよ」
「好きな物は何だ」
「んー…食べ物なら、チョコレートよりケーキですね」