桜ノ華



「俺にも婚約者がいる」

「…存じています」


どこぞの大きなホテルの令嬢との縁談があると、よく噂を耳にしていたから。


「婚約破棄、しようと思う」

「…!」

「簡単にはいかないことくらい、わかっている。

それでも、俺はおまえと一緒になりたい。

俺が、俺の手で、三条も南十字も守れる道を、作ってみせる」

「啓志さ…、」

「だから、諦めないでくれ」


身分、立場の違い。

お互いを縛る枷。

信じるなんて、「はい」なんて、簡単に言えない。

それでも、縋りたかった。



< 43 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop