桜ノ華
大学入学前に籍を入れた。
急に環境が変わるのは酷だからという颯介の意向で、
大学は三条家から通っている。
土日や颯介の仕事が落ちついている時は、
三崎家に泊まることもあった。
大学で時々見かける啓志は、卒業前よりやつれたように見える。
やはり仕事と勉学の両立は簡単なことではないのだろう。
それでも学部での成績はトップときたのだから、さすが"完全無欠の王"だ。
「桜」
「颯介さん…、迎えに来てくれたんですか?」
「うん。どうかな、ランチでも」
「ぜひ」
颯介はこうして仕事の合間を縫い、
大学帰りの桜に会いに来る。
だから、大学内では桜と啓志の破局説が広まっていた。