桜ノ華
桜は苦笑を浮かべ。
すう、と息を吸い込み、凛として啓志を見た。
「…南十字さま、私にご提案がございます」
「…何だ」
「私は、三条から三崎へ嫁いだ身。
三条が南十字へ吸収され生きられるのならば、
どうかこの私の身と引き換えに、三崎から手を引いてくださいませんか」
「桜?!」
これでいい。
こうすれば、啓志の傍にいられる。
こうすれば、三崎に迷惑をかけずに済む。
「その提案、受け入れよう」
―あなたといられるのならば
罪さえも被ると決めたのです