あなたと恋の始め方①
「少しは吃驚してくれました?」


 アカペラで歌うのは自信はないけど、少しだけ驚いてくれるのではないかという自信はあったりする。いつもの真面目一辺倒の私が急に立ち上がってアカペラでバースティソングを歌うとなるとそれはそれで驚きだろう。


「うん。でも、吃驚するというよりは嬉しかったかな。さ、食べよ」


 そういって、小林さんは自分の前に置かれているケーキにフォークを刺す。そして、一口分を自分の口に入れた。


「甘いな。でも、美味しい」


 私も自分の前に置かれたケーキにフォークを入れる。そして、同じように口に運ぶとふわっとしたクリームが口の中で溶ける。そして、美味しさが口いっぱいに広がった。



「美羽ちゃん。美味しい?」

「はい。とっても」


 


 

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