あなたと恋の始め方①

仕事と恋と

 小林さんとの電話が終わると私は心も温かくなって自分のベッドに入り込む。キュッと肌掛け布団を引き上げると昨日からの楽しい時間が脳裏に蘇ってきた。土曜日も日曜日も本当に楽しくて夢の中にいるような気がした。


 初めてのデートで有名な遊園地に行き、夜まで遊び、一緒の夜を過ごして、そして、今日も折戸さんを見送ってから一緒に買い物をして、大好きな小林さんと一緒に過ごす時間はとても楽しくて、時間を重ねる度に好きになっていく自分がいた。


『私も明日頑張らないといけないわ』


 小林さんが頑張ると言っていたからではないけど、私も頑張ろうと思う。単純だと思うけど、自分が思う以上に小林さんとの恋愛は私の生活に色濃く残している。そして、小林さんの事を思いながら私は目を閉じた。


 疲れていたからか私はぐっすりと寝ていた。


 カーテンから差し込む朝の光は真っ直ぐに白い線をベッドの上に引いていた。その淡いながらも白い光に私は思ったよりも時間が過ぎているのではないかと思った。


 私が起きたのは身体の強張りを感じたからだった。それは夢ではなく現実の出来事で、ゆっくりと目が覚めた私は足の付け根と背中の痛さを感じた。それと途方もない足の痛み。立つのがやっとのくらいの痛さに顔を顰めてしまう。


 時計を見ると私の予想は的中していて、急がないと会社に間に合わないくらいの時間になっていた。ヤバいと思って身体をグッと起こすと身体中がミシミシ言う。


 完璧な筋肉痛だった。

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