白と黒、そして白濁
「白!?どうしたの!?」
私がぶつかった人は、私の肩をしっかりと掴んで支えた。
「あ…波…飛…」
私は涙が溢れる瞳を拭った。
ふいに、波飛に抱きしめられる。波飛がいることが嬉しくて、私も抱きしめかえす。
「今までどこにいたのよ。真実はなに?私わからなくなったわ。誰が本当で誰が嘘?教えてよ波飛…」
「聞いたんだね?」
「うん。波飛の過去も。黒という名前はこの国の王しか名乗れない特別な名前だということも。
波飛は私のことを騙していたの?」
「……そうだよ。僕は白より残酷で酷い人間なんだ。白についていこうとしたのも、街からはなれられるきっかけが欲しかったから。それに王宮へいけば、黒に復讐できると思った」
波飛は私を強く抱きしめた。もう離してくれないんじゃないかってくらい強く…
「ごめんね。ごめんね白。嫌なんだ。僕が家族を奪われたように、僕は街の人の家族を奪った。僕が辛い、憎いと黒に思うように、街の人も僕にそう思ってる。
白の優しさに頼ってしまう、僕を許して
…………………」