小路に咲いた小さな花
「あー……もう。可愛い」

「いや。真面目に純粋な子供には参るよな」

キスがばれた私たちと、家族の内情をばらされた親子連れ。

どっちもどっちで恥ずかし……

恥ずかしいって……

「…………」

今のって、ファーストキスだ。

真っ赤になった私を冷静に見下ろして、敬介は無言で車に戻っていく。

ちょっと、普通この状態で置いていく?

あり得なくない?

いくらなんでも、少し違うとは私でも思うよ?

思うんだけど……

私の荷物まで持ってきた敬介が戻ってきた。

「落ち着いた?」

「落ち……え。あ、うん」

「彩菜はたまに自分の世界に入っちゃうみたいたがら……」

「け、敬介も人の事は言えないもん。勝手に納得するし」

「まぁ……そうかも。俺は基本的にどうしようか考えるのが好きだから」

それは昔からだよね。

それは昔から知ってるよね。

唐突に考えはじめて、唐突に発言して、唐突に……

「だから結婚しよう」

……唐突に何を言われたかな。



















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