【短】桜、ひらひら。 − bitter −


「あの、蓮君……」



「うん?」



「……おめでとう。」



あたしは溢れそうになる涙をぐっと堪えて告げた。




本当は…そんな言葉を言いたいんじゃない。





「……サンキュ。」



蓮君は頬を少し赤くしながら微笑む。



「……うん。」




……でも、


あたしは蓮君の笑顔が好きだから。




これからも蓮君に、笑っていてほしい。





あたしの想いは決して、


伝わることも、届くこともないけれど…





あたしはずっと…


大好きだよ、蓮君……。






「…幸せになってね……。」





でも…ごめんね、蓮君……。



ひとつだけ、あたしのわがままを許して。



…これが、最初で最後のわがままだから。





「……おう!」





……蓮君以上の人が現れるまで。





君を好きでいさせてください。






あたしの恋は、


桜の花びらのように舞い散った。
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