不幸ネット
「よし、こっちも終了! お疲れ良美さん……ってあれ? 先食べててって言ったのに」

 美樹が目を丸くしながらこちらを見た。

「あ、いや。何だか自分だけ先に食べるのはちょっと、ね」

「なんだもう、良美さんったら律儀過ぎるよ! いいんだよ、そういうのはざっくばらんで。私、別にそういうの気にしないから」

 美樹が呆れたように笑う。

「ま、いっか。そういうちゃんとしたとこも、良美さんらしくていいよね。私もちょっとは見習わないと。さ、ちゃっちゃと食べて行きますか」

「うん」

 私は笑みを返すと時計に目をやった。

 十九時四十二分。

 予想した時刻よりも早く仕事が終わったのは美樹のおかげだ。

「ありがと」

 小さくつぶやいた一言に、おにぎりを咥えながら美樹は「ん?」と首をかしげると春雨スープを片手に給湯室へと向かっていった。
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