スワロウテイル
私は。


私を別の人種扱いする人たちの言葉を鵜呑みにして、自分からそう言った人々に歩み寄ったことなんて一度も無い。


いや、自分から歩み寄ったとして、上手く行くかどうかは分からないけれど。


リコリスは私の頭を撫でる。


「悩んでたんだね。でも、良いんだよ。悩みのない人間もいないもの。何に悩むかも、みんな違う。だから大丈夫。」


気がつくと私は泣いていた。


もう、髪の毛の色や肌の色の違いなんて、どうでも良いことなんだと、そう思えてきた。


リコリスが私の涙を指でぬぐい、それからそれを口に含む。


そうして優しげな表情を見せた後、リコリスは私の髪にキスをして、そのまま私をそっと抱きしめる。
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