幽霊とバステト
“死んだ私”
目が覚めた。
なんだかすっごくふわふわして気持ちいい。
海で浮かんでるみたい!
その瞬間、スッと体が落ちて行く。

『えぇぇぇぇなに???』

落ちた先に私が倒れてる?

『あぁそっか、私死んだんだった。』


2時間程前に学校から帰ってきた私は、人生を終わりにしたくて、一番好きな服に着替えてお風呂場で手首を思いっきり切ったのだ。
制服のまま死にたくなかった。
水にまじり流れる血を見て、これで終わる。と思ったのが最後になった。

で、気付いたら浮いてた。
へぇ私幽霊になったんだ。本当に幽霊ってあるんだ。
透けてもないし、足もある。
華の高校生。そりゃ死んだら悔いはあるかもしれない。
普通の充実してる高校生なら、わかるよ!
でも私は違う。
死にたくて死んだのに、なんで幽霊になっちゃうわけ?
意味わかんないっ!!

母親が帰ってきた。共働きの両親はいつも母親が先に7時頃帰ってくる。
私がいないことがわかると、お風呂場から水の音が聞こえた母がお風呂場に行き私を見つけた。
なんで、自分のこと見ないと行けないの?
死にたくて死ぬ事しか考えてなかった。
母親は腰を抜かし這う様に電話の場所まで行くと電話して、またお風呂場に戻って私を抱きしめると泣いた。
母親のこんな姿初めて見た。
そっか、これは神様からの罰だ。
自ら命を絶った私への罰なんだ。
それならもう、いい。
もう辛くてたまんない。早くも死んだ事を後悔してるんだから。

救急車や警察が着いて冷たくなった私の体を運んで行く。
母親が着いて行く。
マンションの下で連絡を受けた父親が汗だくで帰ってきた。
私の体に駆け寄り泣き叫んだ。
神様!もうやだっ!見たくない!!
両手で顔を塞いだ。
< 1 / 24 >

この作品をシェア

pagetop